創業計画書の書き方

創業融資を受ける方の多くが最初にトライする日本政策金融公庫さんの事業計画書を
例に挙げてみます。日本政策金融公庫さんのフォーマットは事業計画書ではなく
創業計画書となっていますが、その点は気にしなくて大丈夫です。

日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)の創業計画書

創業融資を受けるのに一番人気があるのは日本政策金融公庫さんです。
何といっても金利が低いからです。

日本政策金融公庫は、昔、国民生活金融公庫だったため、「国金」と呼ばれていました。
国民生活金融公庫は2008年に解散し、日本政策金融公庫に業務が移管されました。

国民生活金融公庫は「特殊法人」で正式には「政策公庫」という略称でしたが、
日本政策金融公庫は「株式会社」で、「日本公庫」という略称になっています。

そんな日本政策金融公庫(旧国民生活金融公庫)で融資を受ける際の事業計画書
(創業計画書)は下記のような項目になっています。

※当事務所へ創業融資の事業計画書をご依頼いただいた方については
   下記フォーマットを利用するプランを除き、この様式は使わず、
オリジナルの事業計画書を作成致します!

1.創業の動機

日本政策金融公庫plan創業の動機

日本政策金融公庫の創業計画書を見ると、最初の項目は
創業の動機になっています。

「創業の動機」という言葉をわかりやすく言い換えると・・・

あなたがなぜ事業を始めたいと思ったのか?
あなたはその事業を行うことでどうなりたいのか(目的)?

このようなことを言います。

この創業の動機は、創業したい方の気持ち・心構えが現れる箇所です。
つまり、あなたの熱意・やる気・思い入れを伝えるところです。

しかし、ここで重要なことは・・・
あなたの熱意だけでは融資を受けるのは難しい
ということです。

なぜなのか?
それは、あなたが事業計画書を作成して読んでもらう相手は
融資をお願いする先だからです。

融資を行う方は「金利をつけて返済してほしい」という気持ちで
お金を貸します。

極端なお話かもしれませんが、
動機が「自由に時間を使えてお金持ちになりたいから」
だったらどうでしょうか?

このような動機を否定しません。起業家という道を選ぶ方の多くが
自由な時間が欲しい、お金を稼ぎたい、という気持ちを持っていると
思いますから。

しかし、あなたが事業計画書を出すのは何のためでしょうか?
融資を受けたいからですよね?

それも、多くの方は今まで実績がない経営者として融資を受けるのですよね?
だからこそ、自由やお金という夢ばかりを熱く語っても融資を受けられないのです。

だったらどのようなことを書くべきでしょうか?
ポイントは2点です。

・事業や事業の結果に対して明確な動機を持っていること

まず事業に対して明確な動機を持っている方は強いです。簡単に諦めないのです。
次に事業の結果に対して明確な動機を持っている方は責任感があります。
事業の地図を作っており、その地図通りに進んでいなければ軌道修正をしたり、
場合によっては地図そのものを作り直します。自然に任せてというスタンスではないのです。
その動機をいかに文面で伝えることができるのか?これは非常に重要です。

・融資する側が応援したくなる内容であること

融資を決定する方もやはり人です。応援したい事業とそうでない事業があります。

一般的に、事業計画(創業計画)を持ち込んで融資を受けられる人は
4~6人に1人程度
だといわれています。

明確な動機があってもなかなか融資してもらえない中、自分が融資を受けてまで
実現したいことは何か、それは聞いた人が応援したいと思えることなのか、
そんなことをしっかりと掘り起こして文面で伝えていく必要があります。
融資する側が応援したくなるような内容であるかを今一度考えてみて下さい。

2.経営者の経歴等

日本政策金融公庫plan略歴

2番目に書く項目は「経営者の経歴等」です。
つまり、創業する人がどんな経験を積んできたのか?です。

履歴書の学歴・職歴と同じようなフォーマットになっていますが、同じではありません!

●年 ○×学校卒業
○年 △△株式会社入社・・・
ということだけを聞いているのではありません。

原則として決算書のない創業融資を受ける際の事業計画書(創業計画書)に
記載する経営者の経歴等は、経営者の実績に該当します。

だから、単に○×学校を卒業したとか、△△株式会社に何年間在籍したということのみならず、
そこでどんな勉強をして何の資格を取得したのか?
その職場で具体的に何をしてきたのか?
それが今度始める事業にどんな好影響を及ぼすのか?
が非常に重要になってきます。

例えば、美容室に10年間勤務した美容師さんが自分の美容室をオープンするとします。

○×□美容学校で美容師の資格を取得
※美容師の資格以外に取得したものはあるのか?

その後10年間A美容室にて勤務
※この間に新しい資格を取得したのか?
※毎日何人のお客様にどのようなサービスをしたのか?
※表彰されたことはあるのか?

このようなことを掘り起こして記載すると、「なるほど、この人はしっかりとした実績を持っていて
それをこのように活かして事業をやっていくから安心だな」という印象を持ってもらいやすく
なります。

当事務所はこれについても様々なヒアリングを通じて掘り起こしていきます。
ヒアリングするうちに、「そういえばこんなこともあった!」と思い出されることもあります。

当事務所の代表は知的資産経営支援の専門家です。
愛知県で最初に知的資産経営認定士に登録され、
愛知県で最初に知恵の経営ナビゲーターに登録されました。
また、知的資産に関する講師、パネリストなども務めさせていただきました。

そんな当事務所の代表が、資産などの数字だけでは見えにくい
差別化の要因をヒアリングで探り出し、それを整理して見える化して
経営に活かしていただくお手伝いをいたします。
あなたの経歴の中にある強み、同業と差別化できる箇所を一緒に探しましょう!

当事務所が他の創業融資支援の専門家と差別化を図っている点は
この知的資産に関する部分です。

しかし、創業融資のご依頼をされる方の中には・・・

私はずっと製造業の事務員をやっていたけど、美容にも興味があるから美容師さんを
雇用して美容室をやりたい!というような実績と無関係の事業を行いたい方もいらっしゃいます。

申し訳ございません。当事務所ではこのような方の事業計画書(創業計画書)の作成は
原則としてお受けしておりません。

なぜなのか?
それは、融資を受けられる可能性がきわめて低いと考えられるからです。

当事務所は皆様の貴重なお金を頂戴して事業計画書(創業計画書)を作成致します。
当事務所は事業計画書(創業計画書)を1つ1つ丁寧に作成するため、時間をかけます。

そのため、どれだけ必死に作成しても融資を受けられる可能性がきわめて低い条件の方は
原則としてお断りさせていただいているのです。

※当事務所がお受けしたからといって100%融資を受けられるとは限りません。
   融資を100%受けられることを保証するものではありませんのでご注意ください。

それでもどうしても融資の審査を受けてみたい!
そんなあなたへできるアドバイスは次の3つです。
実際に融資を受けられるかどうかはわかりませんが、可能性は高くなるはずです。

・保証人・物的担保をご用意いただくこと

しっかりとした方が保証人になって下さったり、物的担保があったりすれば、融資する側も
万一事業が失敗したとしてもお金が戻ってくるという安心感を持ちやすく、融資が下りる
可能性が高まります。これにしっかりと練りこんだ事業計画書(創業計画書)を持参すれば
融資が下りる可能性がより高まります。


・協力者、協力会社、ネットワークの構築

創業者自身が立ち上げる事業の経験がないならば、やはり経験のある方、その道のプロ、
同業者などとのネットワークを構築する必要があります。事業をはじめたら予期しなかった
トラブルに見舞われることもあります。その時に助けてくれるのが同業者を含む仲間です。
その仲間の存在もアピールする事業計画書(創業計画書)を作りこむ必要があります。


・自分の経験を活かせる事業へチェンジ

それを言われても・・・という条件かもしれませんが、原則に戻ります。
事業の実績がない以上、自分の経験がやはり一番のアピール箇所になります。
もう一度自分の経歴等を見直し、自分が得意とする分野の事業を始めるよう計画を
練り直すことが必要かもしれません。自分の実績を前面に出せる事業計画書
(創業計画書)をしっかりと作りこんで融資の担当者へアピールしてみましょう。

3.商品・サービス

日本政策金融公庫plan商品サービス

次にアピールするのは商品・サービスです。
これは私より皆様の方が専門的に説明できる分野です。
ですから、ここは私があなたから徹底的に教えていただきます。

まず、メニューや商品カタログ等があるのでしたら、それを一緒に
提出して下さい。

しかし、ここでも単に商品・サービスを羅列するだけではダメです。
あなただからこそ提供できる付加価値をしっかりとアピールして下さい。

自分の付加価値の一部は先ほどの経歴の欄に記載されたと思います。
ここでは商品サービスの付加価値について記載して下さい。

一番わかりやすい付加価値は競合との差別化です。
身近な例を挙げると、お寿司屋さんです。
1皿100円の回転寿司と高級なお寿司屋さんがありますよね?

100円寿司は「早い」「安い」がウリですね?
一方、高級寿司店は「ネタが良い」「落ち着ける」がウリですね?

100円寿司も高級寿司店も、ビジネスとして成立しています。
しかし、同じお寿司でも商品サービスは明らかに異なっています。
当然求められるスキル、ネタなどもまったく異なります。

あなたはどのような商品サービスを提供するのか明確になっていますか?
あなたの競合となるお店と比べて何が優れているのですか?

それが分析できたら、今度は数字面について分析して下さい。
あなたの商品サービスは何個ありますか?
月の売上目標が50万円だったとして、各商品の売上は何円を予定していますか?

ではそれを達成するために何を何個どうやって販売しますか?
それは現実的な数字ですか?
そのあたりをしっかりと練りこんで下さい。

先ほどのお寿司屋さんであれば、1人のお客さんが平均いくら
支払ってくれるのか(客単価)、お店が営業中に1席あたり何人の
お客様がいらっしゃったのか(回転率)なども計算して下さい。

セールスポイントのところでは、自分の強みのアピールはもちろんのこと、
客観的なデータを示して、自分が行う事業がいかに市場が求めているもので、
将来性もあるものであるのかを証明して下さい。

4.取引関係

日本政策金融公庫plan取引関係

次はお取引先様、つまり仕入先と売先(お客様)の分析です。
大雑把な販売計画になります。

100円寿司の主なお客様はおそらく学生とか一般家庭などでしょう。
一方、高級寿司店の主なお客様はおそらく接待に使いたい方、
有名な方、会社の役員などでしょう。

それらのお客様がどのような割合でいらっしゃるのか?
現金でお金を支払って下さるのか、締日と支払日があるのか?

次に仕入先はどこなのか?

現金仕入れなのか、締日と支払日があるのか?

また従業員を雇用するならば、締日と支払日とボーナス月を決めて下さい。

5.従業員

日本政策金融公庫plan従業員

ここは解説不要だと思いますが、常勤役員の数、正社員の数、

パート・アルバイトの数を記載して下さい。
単純に人数を書くだけですが、人員の計画を立てることは大切です。

6.借入の状況等

日本政策金融公庫plan借入状況

現在の借入の状況と年間の返済額を記載する欄です。
当然ながらここが多ければ多いほど融資を受けるのは難しくなります。

個人的な意見ですが・・・
特にノンバンクの会社から借入をされている方、
クレジット会社のキャッシングを利用されている方
は全額返済してから申し込みされた方が良いです。

(※これがあるから絶対融資が通らないということも言えませんし、
これがないから絶対融資が通るということも言えません)

誰が考えても当たり前のことは、空白が一番良いということでしょうか。
ここに記載することがある方は、自分の現在の借入状況としっかり向き合い、
融資の担当者に面談で聞かれたときに明確に回答できるようにして下さい。

7.必要な資金と調達方法

日本政策金融公庫plan資金調達

この表の左側には、事業を始めるのにどんな費用がどれだけかかり、
運転資金として何か月でいくらかかるのかを記載します。
運転資金は3~6か月程度を目安に考えます。

そして右側には、必要な資金を誰からどのように調達するのかを
記載します。自分がいくら出し、親族からいくら借り、その他誰から
いくら借り入れるのかということを記載するのです。

自己資本ですが、当然多いに越したことはありません。
利用する制度によっては事業に必要な資金の最低これだけはないと
ダメですよ、というものもあります。

親族からの借入金を自己資本に入れてもいいですか?
というお問合せをいただくこともあります。

原則として、借入は借入ですので、自己資本には入れられません。
ただし、親族が「応援するよ、返済しなくていいよ」と言ってくれたお金
であれば、自己資本に入れることができます。

日本政策金融公庫の欄ですが、ここには融資希望額を記載します。
開業までに必要な資金、運転資金、自己資金、親族からの借入、
使いたい制度などを総合的に考えて融資希望額を記載して下さい。

いくら必要で、どうやって調達するのか、ということを記載するので、
左側の合計額と右側の合計額は同じ金額になります。

8.事業の見通し

日本政策金融公庫plan事業の見通し

 

この欄は先ほどの運転資金を詳しくしたものともいえます。
運転資金は大雑把な金額を把握するもの、
事業の見通しは1つ1つ細かく記載していくものと考えて下さい。

単純に数字を埋めていくように思えるかもしれませんが、
ここは事業計画書(創業計画書)の一番肝の部分といえます。

ポイントは・・・
・開業後いつから、毎月いくら稼げて、いつ返済できるのか?
・その計画は実現可能なものなのか?
の2点です。

こうやって売上を上げてもらう予定なんだけどさぁ、
絶対かと言われたらそんなことは言えないし・・・

そういう思いもあると思います。
しかしお金を貸す側としては、それでは困るわけです。

だからこそ、できるだけ稼げる根拠を出す必要があります。
稼げる根拠とは・・・

今ある人脈でお仕事をいただけるという約束ができているならば
契約書を作成して、こういう条件でこういうお取引をするということを
証明します。

もしも人脈などがなくて、出たところ勝負になるのであれば、
こんな営業を行い、その中のどんな割合の人がこんな成約をくれ、
その結果これだけの売上が上がる。それが月に何件だからこうなる。

こんな仮説を立て、その仮説が現実的なものであるということを
客観的に証明するデータを探します。

次に経費についてですが、家賃や人件費はもちろんのこと、
その他必要な経費をもれなく記載して下さい。

事業計画書(創業計画書)に記載する経費で忘れがちなものベスト3です。
「税金(所得税・消費税)」「返済の利息」「社会保険料・厚生年金料」です。

支払利息は記載する欄がありますが、ここは日本政策金融公庫の分だけでなく、
他の借入についても併せて計算しないといけません。

あとは減価償却するものがあるのかないのか、
出張等が多いのか少ないのか等を見極めて、甘い経費計算をしないように
気を付けて下さい。

9.最後に

これまで、日本政策金融公庫のフォーマットにて説明させていただきましたが、
できるだけこのフォーマットは使わないことをお勧めします。

最初に申し上げましたとおり、当事務所はこのフォーマットは使いません。
それは、本当に事業計画を立てるならば、この事業計画書では記載欄が
足りなさすぎるからです。

あれも、これも、それも、どれもこれも「別紙に記載」とするならば、
はじめからすべて新たに作成した方が自分の記載したいことを自由に
盛り込めて綺麗に作成できるからです。

あくまでも、このフォーマットに掲載されている内容は書いていて当然のものです。
この中で記載しなくてよいものはありませんので、もっと詳しく書くために新たな
事業計画書(創業計画書)を作成して下さい。

10.おまけ~もしも融資担当者なら特にどこを重視する?

融資担当者も組織で働く方です。当然ながら立場があります。

どういう方へ融資したいのか?と言われたら、きちんと金利を
つけて返済してくれる方、という返事になるのではないでしょうか?
(※これはあくまでも私個人の意見ですが・・・)

この融資担当者に融資をしていただくためのものが事業計画書
というわけですが、融資担当者の立場に立ったとしたら、一体
どんな項目が特に気になるのか考えてみましょう。

(1)数字

創業融資の場合は、自己資金や家族等からの借入が多く見込める方
の方が有利といえるでしょう。

創業融資でない場合は、やはり決算書の数字です。
これも仕方がないことですが、結果は重視されます。
一般的に、銀行などの金融機関だと決算書の数字が8~9割程度、
日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)だと決算書の数字が7~8割程度
評価されるといわれています。

しかし、決算書の数字が良くても悪くても、重要なポイントがあります。
ここがクリアできなければ、受けられるはずの融資が受けられなかったり、
条件が悪くなったりする可能性があるので要注意です!

・なぜそのような数字が出ているのかをきちんと説明できること

当然のことですが、数字は自らの事業の結果を表しています。
どうしてこの時に売上がこんなに上がったのか、下がったのか、
この会社とどういう取引条件になっているからこういう結果なのかなど、
面談で聞かれた内容をきちんと説明できなければ、貸す方としては
不安になるし、場合によっては隠していることがあるのでは?という
疑問を抱かれることだって考えられます。

もし自分できちんと説明できないのであれば、経理担当者や
数字を把握している方を同行して面談に臨みましょう。

(2)計画

まさに事業計画です。
売上の計画を立てているのか?
資金繰りの計画を立てているのか?
計画のPDCAサイクルを回しているのか?
など、実行性のある計画を立てて、それを語れることが大切です。

融資担当者が応援したくなる計画を立てて、説得しましょう!

(3)経験

事業計画書の例のところでも書きましたが、特に創業融資の場合は、
起業する業種における経営者の経験が必須です。

その業種においてどんな経験や人脈があるのか?
それを自分の事業でどう活かせるからどんな売上が上がるのか?

このように単に経験があるというだけではなく、その経験が自分の事業に
どう活かせるのかを論理一貫性を持って説明することが重要です。

(4)自分の強み

必ず強みはあります。ただ自分ではなかなか気づきにくいだけです。

弊所では徹底的にヒアリングを行い、頭に汗をかいていただきます。

自分の強みは何か、なぜそれが強みなのか、その強みを構築する過程は
どうだったのかなどを1つ1つ丁寧に絞りだし、客観的に説得力のある形で
論理一貫性をもって説明していきましょう。

(5)競合

必ず同業者はいます。同業者以外にも競合はいます。
いったい競合とどんなところが違うのか、どうしてお客様は競合ではなく
自分を選ぶのかなどをきちんと説明していきましょう。

競合との違いをしっかり述べられるということは、自社が差別化できるということです。
競合との違いをしっかり述べられるということは、自社のブランディングにつながります。
ブランディングを考えるなら、まずは競合を徹底的に調査しましょう。

以上、私がもしも融資担当者なら特にココを重視したいという点について述べました。
もちろん、その他の記述も重要です。しっかりした事業計画書を出しましょう。

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