ローカルベンチマーク(ロカベン)で使う非財務の指標

非財務とは?

非財務とは、知的資産のことです。つまり財務諸表(決算書)の数字には出てこない会社の強みのことです。

そんな強みなんてあるの?と思われるかもしれませんが、経営者や従業員個々人が持っているノウハウや強み、経営理念や経営者の想い、技術力やネットワークなど、会社の経営を支えている他社との違いの部分なので、どの会社にもあります。

非財務の強みは決算書からはわかりませんので、会社と向き合って考えていただくことになります。この非財務の強みで企業の現在の姿を映し、
将来の可能性を評価します。

ローカルベンチマーク(ロカベン)は非財務を考える視点として、次の4つを挙げています。

  1. 経営者への着目
  2. 事業への着目
  3. 企業を取り巻く環境 関係者への着目
  4. 内部管理体制への着目

このそれぞれについてもう少し詳しく見てみたいと思います。

経営者への着目

これは、こんな視点で見ていきます。

  • 経営者自身について、ビジョン、経営理念
  • 後継者の有無

中小企業、特に小規模事業者になればなるほど、経営者が企業の経営に与える影響が大きくなります。すると、経営者の優劣が企業の優劣を左右する面が強いことになります。そのため、経営者へ着目し、経営者の想い、計画、経営者としての資質などを見ていきます。

現在、経営者の高齢化が社会問題化しており、事業承継できない、事業承継を望まない経営者も多くなっています。しかし事業の継続性という観点からすると、それは非常に残念なことです。事業の継続性を判断するために、経営者が高齢化している場合は特に、経営者の理念や事業を受け継いでいく後継者の有無が大切となります。

事業への着目

これは、こんな視点で見ていきます。

  • 企業及び事業沿革
  • 技術力、販売力の強み
  • ITの能力、イノベーションを生み出せているか

企業の沿革は会社や経営者の歴史です。歴代の経営者がどのような理由でどのようなことを考え、どのようなビジネスを行ってきたのかということをたどっていきます。そのことで、会社が代々大切にしてきたこと、今の事業を行っている背景がわかります。これは現状を把握したり、将来の予測を立てるのに大切なこととなります。

技術力や販売力の強みを見出す過程で、課題も見えてきます。どのような技術力が強みなのか、どのような販売力で会社が支えられているのか、より強い会社にするためにどのような課題があるのかなどと向き合うこととなります。

人材不足が叫ばれる一方で、AI化するともいわれています。ITがまったくわからない、ITは関係ないとはいえない状況になってきています。ITを効率よく使って生産性の向上をはかり、働き方改革につなげることは多くの企業で必要とされることです。また、今まで以上にイノベーションの力も問われてきます。イノベーションを生み出す土壌があるのか、生み出せているのか、しっかりと考えていく必要があります。

企業を取り巻く環境 関係者への着目

これはこんな視点で見ていきます。

  • 市場規模・シェア、競合他社との比較
  • 顧客リピート率、主力取引先企業の推移
  • 従業員定着率、勤続日数、平均給与
  • 取引金融機関とその推移

どんなにうまくいっている企業でも、社会環境が変化した途端、うまくいかなくなるということはあります。その逆もあります。社会環境の変化を企業が把握しているか、それに合わせた対応ができているのか、競合他社と比べてどのような状況なのかを見ていきます。

顧客リピート率というのは、顧客満足度の現れの1つといえます。主力取引先企業がどのような理由でどのように変わっているのかを見ていくことで、企業規模の変化、関係資産の構築や維持を見ることができます。

人財ともいわれるとおり、従業員があってこその会社です。近年、特に若手従業員の定着率が低いと悩む企業も多いようですが、どのような待遇で、どのような従業員が、どの位長く定着しているのかを把握することで、企業の持続性や従業員の高齢化の有無などを見ることができます。

取引金融機関がどの程度企業を把握しているのか、取引金融機関とどのような関係を築いているのかなどを見ることができます。

内部管理体制への着目

これはこんな視点で見ていきます。

  • 組織体制
  • 経営目標の有無、共有状況
  • 社内会議の実施状況
  • 人事育成のやり方システム

小規模の企業になればなるほど経営者の力が大きくなり、経営者に一存してしまうケースが多いです。しかし、このようなケースでは、経営者に何かが起きると企業が回らなくなってしまいます。このようなことを避けるためにも、内部管理をきちんとしておく必要があります。この内部管理がきちんとなされているのか?ということを見ていきます。

企業に所属している人が同じ方向を見て日々の業務に励むことは非常に重要です。そのために経営目標や経営理念を掲げ、それを共有しているのか、ということを見ていきます。

社内会議はやればいいというものではありません。どのような目的で、どのような人が集まって、どのような内容の会議を行っているのかを見ていくことで、経営者や管理職の意向が見えてきます。

現在の従業員がいかに優秀であっても、企業の永続性のためには新しい世代の従業員を入社させ、育てていかなければなりません。そのため、人材育成のやり方やシステムを見ていきます。

 

ローカルベンチマーク(ロカベン)で使う財務の指標

ローカルベンチマークで使う財務の指標の種類

経営分析の本を読んだことはありますか?
経営分析の「基本」と書いてあるのに、出てくる指標の多さに驚いたことがある方も少なくないと思います。数を数えなくても、数十個は軽く超えていますよね?

決算書からすべての数字を出して、その数値を標準と比べて、なんてやっていたら、それはもう大変なことになりますよね…というか、たぶんやれないですよね。やっても出すだけで終わってしまう。それでは意味がないわけです。数字を出したら、その数字ときちんと向き合わないと意味がないわけですから。

ローカルベンチマーク(ロカベン)で使う財務の指標はたった6つです。6つ程度なら出してみよう、考えてみようとなりますよね。最初の一歩を踏み出すにはちょうど良い、そして会社を把握するには欠かせない財務の指標6つをローカルベンチマーク(ロカベン)では使用します。

ローカルベンチマーク(ロカベン)で使用する6つの指標とは、
①売上高増加率(売上持続性)
②営業利益率(収益性)
③労働生産性(生産性)
④EBITDA有利子負債倍率(健全性)
⑤営業運転資本回転期間(効率性)
⑥自己資本比率(安全性)
です。下記ではそれぞれの指標について触れてみます。

売上高増加率とは?

売上高増加率(売上持続性)=(当期売上高 ÷ 前期売上高)-1 × 100

これは、前期と当期を比べて、売上高がどれだけ増加したかという指標です。

例えば、今期の売上150円、前期の売上50円だったとします。

売上増加率=(150÷50)-1×100=200%
となります。

これはキャッシュフローの源泉であり、企業がどの成長ステージにいるのかを判断する指標となります。

営業利益率とは?

営業利益率(収益性)=(営業利益 ÷ 売上高)×100

これは、売上高のうち営業利益が占める割合を示した指標です。つまり本業の収益性を測る指標です。

例えば、売上高100円、営業利益70円だったとします。

営業利益率=(70÷100)×100=70%
となります。

労働生産性とは?

労働生産性(生産性)=営業利益 ÷ 従業員数

これは従業員1人当たりの生産性を示した指標です。

例えば、営業利益7万円で従業員が140人いたとします。

労働生産性=70000÷140=500円
となります。

EBITDA有利子負債倍率とは?

EBITDA有利子負債倍率(安全性)=(借入金ー現預金)÷(営業利益+減価償却費)

これは利子がある負債を何年かかれば返せるか?という指標になります。

これは具体的な数字を入れてもイメージしにくいと思いますので、具体例は省略します。

営業運転資本回転期間とは?

営業運転資本回転期間(効率性) = (売上債権+棚卸資産ー買入債務)÷月商

これは一月あたりの売上高と営業運転資本の比を示した指標です。

これも具体的な数字を入れてもイメージしにくいと思いますので具体例は省略しますが、この計算式で出てきた数字は、何月分の売上高に相当する営業運転資本が必要だということを示しています。

自己資本比率とは?

自己資本比率(安全性)

これは総資本のうち、自己資本はどれだけか?ということを示す指標です。
自己資本は返済する必要のない資本のため、自己資本比率が高い会社は資金の安定性が高いと考えられます。

6つの指標のために入力する財務データの種類は?

ローカルベンチマーク(ロカベン)で使う6つの財務の指標を出すには、決算書の何の数値を使うのでしょうか?決算書の数字をすべて入力するのは大変だと心配される方もいらっしゃると思いますので、上記6つの指標を出すために入力するデータを列挙します。

  • 最新期売上高
  • 前期売上高
  • 営業利益
  • 従業員数(正社員)
  • 借入金
  • 現金・預金
  • 減価償却費
  • 純資産合計
  • 負債合計
  • 売掛金
  • 受取手形
  • 棚卸資産
  • 買掛金
  • 支払手形

このほか、商号、所在地、代表者名、業種を入力するだけです。

決算書が苦手、数字ばかりで何かよくわからないという方でも、これだけなら探せますよね?

ローカルベンチマーク(ロカベン)とは?

ロカベンとは?

ローカルベンチマークという言葉をお聞きになったことはありますか?
ローカルベンチマークのことを略して「ロカベン」と呼ぶこともあります。
ロケベンのようにお弁当の名前のように感じるかもしれませんが、お弁当ではありません。

ローカルベンチマーク(ロカベン)とは、企業の健康診断ツールとして、企業の経営者、金融機関、支援機関が同じ目線で企業と対話を行うための基本的な枠組みです。

数年前に金融庁の長官が代わってから、「事業性評価」ということが重視されるようになりました。つまり、担保や保証人を重視した融資ではなく、事業の成長性、経営者の資質などの非財務(知的資産)をしっかり把握して、評価していきましょう、というものです。

特に金融機関は「事業性評価融資」を行うことを推進されておりますが、事業性の評価を行うことはなかなか難しいものです。そこでこの事業性評価の入口として活用してもらいたいというのがローカルベンチマーク(ロカベン)というわけです。

ローカルベンチマーク(ロカベン)を活用することにより、経営者、金融機関、支援機関が同じ目線で話ができるという話を先ほど書きましたが、これは非常に重要な点です。

例えば、金融機関からの融資を受けたい経営者は、金融機関と話をする際に緊張をしてしまいます。金融機関も貸した企業が倒産されたら困るのでヒアリングに必死です。そんな緊張状態の中でヒアリングを行った時、どこまで会社や経営者の強みを引き出せるでしょうか?

事業性評価融資の際に判断基準となる決算書の数字には表れにくい強み(知的資産)は特に、経営者からいかにヒアリングで引き出すかが大切です。この知的資産を引き出すためには両者に信頼関係が必要なのです。これは金融機関と経営者のみならず、支援機関と経営者においても同じです。経営者、金融機関、支援機関が同じ目線で話をするためのツールがローカルベンチマーク(ロカベン)というわけで、企業がローカルベンチマーク(ロカベン)を積極的に活用すれば、金融機関や支援機関の担当者と話す際に緊張を和らげることができるわけです。

また、従来、一部の認定支援機関は、経営革新計画の策定において、自身はあまり関わらず、単に認定支援機関の印鑑を押印していました。しかし、これでは認定支援機関の意味をなさないわけです。そこで認定支援機関はローカルベンチマーク(ロカベン)をしっかりと活用して下さいね、という方針が打ち出されました。

つまり、認定された支援機関なのだから、企業をしっかり診断して下さい、そのツールとしてローカルベンチマーク(ロカベン)を使って下さい、というメッセージが託されたわけです。

ローカルベンチマーク(ロカベン)は金融機関にとって大変?

金融機関の大半は認定支援機関です。つまり、事業性評価などの際にローカルベンチマーク(ロカベン)を使って下さいね、となったわけですが…
一部の金融機関では手に負えず困っています。

なぜでしょうか?

金融機関には、昔、目利き力を持った担当者がたくさん存在していました。つまり、決算書を見て、経営者と話をすれば、決算書の中の数字からは見えない強みや課題を見出すことができる担当者がたくさんいたのです。また、そのような担当者になるように育てられたものです。そのため、今の「事業性評価融資」ということは当然のように行われてきました。

しかし、ある時から、担保や保証人を重視する融資制度へ変わっていきました。決算書の数字をはじめ、必要事項を入力すると格付けが出てくるわけです。その格付けに基づいて融資をすれば大丈夫、という風潮ができてしまいました。

その結果、当時から金融庁は2割程度は非財務(知的資産)をみようね、といっていたにもかかわらず、ヒアリングを行ったとしてもほとんど考慮されないで融資が行われるというケースも多くなりました。

すると、どうなるでしょうか?

金融機関の担当者の目利き力は落ちてしまいますし、新しく入ってくる人へ目利き力を教育する機会も失われてしまいます。こうして若手行員の目利き力が失われてしまった金融機関が増えてしまい、ローカルベンチマーク(ロカベン)を活用しよう、というと「大変だー」と手に負えなくなった金融機関も出てきたわけです。

でも、金融機関さんにはかなり優秀な方が多いので、こんな「困った」という状況もすぐに打破されると思います。

ただし、やはり最初に書いた、経営者さんと金融機関さんとの緊張関係というのはどうしても残るケースがあります。そんな時は、弊所のような第三者の専門家と共にローカルベンチマーク(ロカベン)に取り組んだり、別のもので金融機関さんへ企業の隠れた強みや事業計画を示したりするお手伝いを行うことができます。

実際、弊所へ事業計画のご依頼をいただいたお客様は、ヒアリングを楽しまれております。

「ねえねえ、関係ないけど話してもいい?話したい!長くなっちゃうけどゴメンね」
そんな経営者さんがお話される内容の中には強みや課題がたくさんあります。
経営者さんにとっては「関係ない」と思われていることも、第三者から見ると強みや課題って面白いですよね?

やはり緊張のない関係だからこそ見えてくるのです。
そして経営者さんも安心してお話できるのです。
これをシートにまとめてみると、経営者さんが金融機関さんとお話する際に自信をもってお話できるというわけです。

弊所はローカルベンチマーク(ロカベン)のみならず、経営レポートの作成、知的資産経営報告書の作成など、多くの知的資産経営支援を行ってきたからこそ、会社の魅力を引き出し、開示資料にすることができます。

お気軽にご相談下さいね。

PEST分析とは?

PEST分析とは?

PEST分析は、ノースウェスタン大学ケロッグビジネススクールのフィリップ・コトラー教授が提唱したものです。コトラー教授は、「コトラーの戦略的マーケティング」という著書の中で、環境を分析することが大切である旨を記しています。

PESTとは、政治的(P=political)、経済的(E=economic)、社会的(S=social)、技術的(T=technological)の頭文字を取った用語です。外部環境の中でも市場に影響を及ぼすマクロ環境を把握して、各々の外部環境が今後自社へどのような影響を及ぼしていくのかを考えていくフレームワークがPEST分析です。

1.P:政治的・・・規制緩和や規制強化、新法の制定、現行法の改正、税制改正、裁判所の判決の動向、海外の政治情勢、為替の動きなど

2.E:経済的・・・景気、物価、経済成長率、国民総生産(GNP)、国民総所得(GNI)、金利の動向、株価の動向、為替の動向、原油価格の動向など

3.S:社会的・・・人口推移、出生率、流行、自然環境、二酸化炭素排出率、ライフスタイル、宗教、犯罪発生率、教育水準、雇用調整、人材確保の環境など

4.T:技術的・・・特許出願数の推移、技術の進歩、新技術普及率、標準化競争、技術力競争など

PEST分析を行うことで、どの市場にどうやって参入するか、将来どんなことが生じる可能性があるのか、自社はどんな戦略を打ち立てていくのかなどを柔軟に組み立てることができます。

また、PEST分析を行う際は、海外にも目を向けることが大切です。海外進出を考えている場合だけでなく、海外の政治情勢や経済情報も国内に様々な影響を与えるからです。

PEST分析を行う際の注意点

PEST分析を行う際、情報を得る時点では点としての数値であっても、それを単なる点としての数値として把握せず、流れの中の1点であることを意識することが重要です。

例えば、ある日の為替相場が1ドル=120円だったとします。この数字だけ見て円高なのか、円安なのか判断できるでしょうか?判断できないというのが正解ですよね。

1ドル=80円台まで進んだことがあるから、120円だったら円安だろうという意見もあれば、昔は1ドル=360円だったんだから、それと比べれば円高だろうという意見もあるでしょうから。

つまり、比較する数値がなければ、特に数値化されるものに関しては評価できないのです。そのため、PEST分析において数値化されたデータの情報を取得する際は、必ず推移や流れを把握できるように気を付けましょう。

次に、PEST分析を行う際は、リスクとなる外部環境がピックアップされた際に、解決策や回避策、危機管理なども同時に考えていくことが大切です。PEST分析によって撤退する事業も出てくるかもしれませんが、撤退という判断を下すのは企業にとって非常に大きな決断となります。一度構築しようと思ったビジネスは、少々厳しいPEST分析の結果を見ても、実行していく可能性は十分にあります。

その際、PEST分析でこれだけ厳しいんだからやっても無駄、という視点ではなく、何をどうしたらこの環境で打ち勝つことができるのか?を考えてみて下さい。そのものズバリの解決策でなくても、少し何かを変えるだけでオンリーワン企業、ナンバーワン企業となれる可能性を秘めています。

是非、状況把握のみならず、その状況への対応策、その状況下で行う際のリスク回避策、危機管理などの視点で考えてみて下さい。

SWOT分析・クロスSWOT分析とは~

SWOT分析とは?

SWOT分析とは、1960年代から1970年代にスタンフォード大学のアルバート・ハンフリー教授により構築され、 ハーバード大学のビジネススクールで昔から使われてきたマーケティング分析のツールです。

ビジネスにおいて目標を達成するために、外部環境や内部環境を強み (Strengths)、弱み (Weaknesses)、機会 (Opportunities)、脅威 (Threats) という4つのカテゴリーで要因を分析します。つまり「会社にどのような強み・弱みがあるのか」「商品サービスにどのような強み・弱みがあるのか」「会社をとりまく外部環境にどのような機会・脅威があるのか」などを分析するのです。

1.強みと弱み・・・商品サービス、企業の規模、立地、原材料、設備、ブランド、企業風土、価格など

2.機会と脅威・・・流行、法制度、経済状況、人口の推移、環境の変化、競合他社の動向など

1の強みと弱みについては、会社自身の強み・弱みや商品サービスに関する強み・弱みです。昔から会社の資源は「人・モノ・金」と言われてきました。近年はこの3つに「情報」を加えて言われることがありますが、このような資源だけが強みや弱みの対象ではありません。会社の強み・弱みには、従業員1人1人が有している強み、会社の理念、顧客からの信用力、会社のブランド力などといった決算書の数字に表れにくい強みや弱みも含まれます。こうした強み(知的資産)をしっかり認識し、経営に生かしていくことが重要です。

2の機会と脅威については、自社にとって機会となっている(これから機会となる)要因と、自社にとって脅威となっている(これから脅威となる)要因とに分けて整理することが大切です。そして、競合他社の動きがどうなっているのかを調べて書き出すことも重要です。

SWOT分析の目的

SWOT分析はどのような目的で使われるでしょうか?SWOT分析を使う目的は、主に経営戦略とマーケティングの策定が多いです。

1.経営戦略の策定

SWOT分析は、経営者が経営戦略を策定したり、目標を設定したりする際に活用されます。SWOT分析は、きちんと分析することができれば、事業戦略を見直したり、事業戦略の精度を向上させたりすることができます。なぜなら、内部環境と外部環境を分析することから、多角的な視点で会社を見ることができ、様々なことを検証することができるからです。

会社は既存の事業をいかに発展させていくかということと、新規の事業をどのように展開していくのかという戦略を立てます。SWOT分析は、新規の事業展開の時に有用なのはもちろんのこと、既存の事業がどのような状況なのかを見極める際にも有用です。すなわち、現在の外部環境、将来の外部環境のもとで現在の事業がどのようになっていくのか、現在の内部環境の何をどのように生かすべきなのか、現在の内部環境にどのような問題点が隠れているのかを見極め、今後の戦略を立てていく必要があります。

また、SWOT分析をは定期的に実施し、適切な事業展開をはかる必要があります。

2.マーケティング戦略の策定

SWOT分析は、上記で述べたように会社が既存の事業や新規の事業の戦略を策定する時だけではなく、マーケティング戦略を立てる際にも有用な分析ツールです。

商品のマーケティングを策定する際、競争優位性を見極め、市場におけるニーズを探り、ビジネスチャンスがあるのかどうかを適切に見極める必要があります。外部環境と内部環境を丁寧に見ていくSWOT分析は、ある商品サービスは撤退すべき事業か否かを判断したり、自社が優位性を築けるのに見逃してしまっているビジネスの機会があるか否かを判断したりするのに有用です。

クロスSWOT分析のやり方

企業の強み、弱み、外部環境の機会、脅威を書き出したら、マトリックスにします。すなわち、強み×機会、強み×脅威、弱み×機会、弱み×脅威の4つのマトリックスにして分析します。

強み×機会でさらなる強み構築を考えていきます。どんな強みを、どんな機会に、どのように生かしていくのかを考えると、オンリーワンやナンバーワンを狙える差別化戦略を構築できるかもしれません。

強み×脅威で脅威に打ち勝つためにどんな強みをどのように発揮していくのかを考えていきます。脅威におびえるより、自社の強みをどのように発揮するのかを考え、強みで脅威を打ち負かすくらいの心意気をもつのも大切かもしれません。しかし、大きな脅威が想定され、強みだけでは太刀打ちできなさそうだと判断したならば、撤退も含めて考慮します。

弱み×機会で弱みを克服する、あるいは弱みに打ち勝つために、どんな機会をどのように活かしていくのかを考えていきます。素晴らしい機会に恵まれているけれど、それを実現するためには弱みを克服しなければならないこともあるでしょう。しかし、機会を活かそうと思うあまり、弱みを克服したり、弱みをカバーすることが事業を圧迫するような事態になってしまってはいけません。その匙加減は十分に考えていくべきです。

弱み×脅威では撤退すべき事業の選択をしていきます。しかしこのマトリックスに該当するものをすべて撤退させるかどうかはもう少し考慮する必要があります。何かをずらせば生き残らせることができるからです。つまり、弱み×脅威というマトリックスから他の3つのどれかのマトリックスにシフトさせるのです。そうすれば撤退させる必要がなく、今まで培ってきたものを活かすことができる可能性も出てきます。

ランチェスター戦略とは?

ランチェスターの法則とは?

ランチェスターの法則とは、1914年にフレデリック・ランチェスターが発表した戦争における兵法に関する法則です。ランチェスターの法則には第一法則と第二法則があり、第一法則は弱者のための戦略、第二法則は強者のための戦略と呼ばれています。

第一法則は一騎打ちの法則とも呼ばれています。実際に戦闘の場面を想定して考えてみましょう。例えば、Aチームには竹槍で武装した兵士が100人いるとします。このAチームと戦闘を行うBチームには竹槍で武装した兵士が150人いるとします。AチームもBチームも竹槍の性能が同じだと仮定すると、一騎打ちした場合、人数が多い方が有利となります。すなわち、Bチームの方が優位となります。

では、Aチームには竹槍で武装した兵士が100人いるとします。このAチームと戦闘を行うBチームには拳銃で武装した兵士が100人いるとします。この場合、どれだけ竹槍の性能が高くても、竹槍よりも拳銃の方が殺傷能力が高いため、同じ人数の兵士しかいなくても、性能の高い武器で武装しているBチームの方が優位となります。このように、戦闘力は兵士の数と武器の性能を掛け合わせたものとなります。

次に、第二法則は、集中効果の法則とも呼ばれています。第二法則における戦闘では、一騎打ち戦ではなく、一人が複数の兵士を同時に攻撃する戦闘を想定しています。この場合、各チームの戦闘力は、武器の質と兵士の数の二乗を掛け合わせたものとなります。

ランチェスター戦略とは?

ランチェスターの法則を企業の経営戦略に活用した理論です。日本では1970年代にオイルショックが起こり、不況の時代に入りました。その際、成熟市場にある企業がどうしたら勝ち残ることができるのかということを考えるのがランチェスター戦略です。

ランチェスターの法則における「戦闘力」を、企業の「営業力」と考えます。

ランチェスターの第一法則・・・戦闘力=兵士の数 × 武器の性能
ランチェスターの第二法則・・・戦闘力=兵士の数の二乗 × 武器の性能

これをランチェスター戦略にたとえるとどうなるでしょうか?

まず、戦闘力は営業力と置き換えることができます。そして兵士の数は営業担当者の数、武器の性能は品質、付加価値、開発力、技術力などの会社の強み(知的資産)などとなります。

では、実際に第一法則と第二の法則の使い分けはどのようにしたらいいのでしょうか?

第一法則は一騎打ち戦がベースとなっているので、小さなところでの戦いに利用します。つまり、狭い地域内で競争したり、特定の分野の商品サービスを提供したり、特定の顧客層をターゲット層にする場合などに利用します。

これに対して第二法則は広域戦などがベースとなっているので、第一法則と異なり広い地域で競争したり、広範な商品サービスを提供したり、広範な顧客層をターゲット層にする場合などに利用します。

大企業は人数も多く、資金も潤沢にあるため、第二法則の戦略をとり、圧勝することができます。大企業は、企業のブランド力や資金力などによって新たな需要を創造したり、広域な地域で戦ったりなどによって総合的に戦い、勝ち抜いていくことができます。

しかし小さな会社はこのような強者の戦略をとることができません。ありったけの人材や資金を投資したとしても、大企業と同じ土俵で勝ち抜くことはできません。そこで小さな会社が勝ち抜くためには差別化戦略をとることが優位と言われています。

つまり小さな会社はランチェスターの法則の第一法則を用いて特定のものに集中していく戦略をとることが有用です。小さな会社の人材を集めて特定の商品サービスに集中するとか、その販売を狭い地域に絞るとかなどです。

また、小さな会社は大手企業のようにブランド力を構築するのは大変な代わりに、ターゲット層の顧客と近づきやすいという強みもあります。ターゲット層の好む販売方法や志向を調査し、そこに合わせた経営戦略を築きやすいのは小さな会社の強みといえます。このことからも、ランチェスター戦略は小さな会社のための経営戦略と言われることもあります。

PDCAサイクルとは?

PDCAサイクルとは?

企業が事業活動を行う上で生産管理や品質管理などの管理業務を行っていきます。その際にPDCAサイクルを行うと円滑に進められます。またPDCAサイクルを行うと、業務を継続的に改善することができます。PDCAサイクルとは、Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Act(改善)の4つの 段階を繰り返すことです。

1.Plan(計画):業務遂行などの方法や手順を企画すること
2.Do(実行):Plan(計画)で立てた内容を実際に実行すること
3.Check(評価):Plan(計画)に沿ってDo(実行)できたかを評価すること
4.Act(改善):Check(評価)の際に改善点が出てきたら、その改善を行うこと

まずは目標がなければ何も始めることができません。そのため、最初に目標設定を行います。その後、その目標を達成するためにどのような行動をするのかの計画を作成していきます。

次に設定した目標を実行するために実際に行動をしていきます。その際、計画段階と異なる行動をする場合も出てきます。その際、無理に計画通りに実行することに固執せず、なぜ計画段階と異なる実行をすることになったのかを意識し、メモをとっておくと、その後の工程で役立ちます。

そして、計画立案から実行を踏まえて出てきた結果や成果を評価します。その際、行動した時に発生した問題点や課題をピックアップします。成功したことに関しても、失敗したことに関しても、計画の何が良かったのか・悪かったのか、実行する際の何がよかったのか・悪かったのかを検討します。

最期に評価の際に明らかになった問題点や課題に関しては改善案を作成します。そして次のPDCAサイクルの際に業務を改善できるように準備します。

このサイクルを繰り返すことにより、常に改善を重ねて変えていくことができるため、日々業務の改善がされていきます。

PDCAを効率的に回すコツ

1.具体的な計画を立てること

計画の次にあるのは実行です。この計画の立て方により、実行する際のモチベーションや効率が異なってきます。例えば、「営業成績をあげよう」という計画と、「営業成績を月100万円あげよう」という計画を比較してみましょう。前者の計画を実行に移すとしても、なかなか具体的な実行プランへつながっていきません。これに対して後者の計画を実行に移すなら、いくらの商品をいくつ多く販売するとか、この商品をいくつ販売するとかなど、具体的な実行プランがみえてきます。このことから、いかに具体的な計画を立てるのか、というのがPDCAサイクルを効率的に回す最初のコツとなります。

2.徹底した原因追究を行うこと

計画して実行すると、必ずうまくいくこと(成功すること)とうまくいかないこと(失敗すること)とが出てきます。うまくいったことにも、うまくいかなかったことにも、必ず原因があります。成功の原因、失敗の原因を徹底的に追究することで次のPDCAサイクルを回す際の参考になります。成功や失敗の原因を追究する際には「なぜ?」という質問を5回繰り返すと良いと言われています。なぜ?を5回も繰り返すと、かなり根本的な原因が見えてくることも多いため、次のステップの際に有用です。

3.数値化した改善案を出すこと

特に問題点や課題の原因追究ができても、それが改善できなければ意味がありません。追究した問題点や課題を改善していくためには、やはり具体的な改善案が必要となります。「具体的な改善案」というのは、「数値化された改善案」となります。

「営業成績を月100万円あげよう」という計画に対して、「電話をかける件数を1000件増やす」という行動計画を立てたとします。しかし実行できたのは500件増やせたのみだったとします。500件しか増やせなかった理由は、勤務時間との兼ね合いだったとします。つまり計画段階で無理があったとしましょう。

その際、改善案としては、今回1件当たり平均何分かかったのかを計算し、その時間数を踏まえて実行可能な件数で、実行可能な成績目標を立てていきます。この数値化した改善がより具体的な計画立案につながっていき、PDCAサイクルを効率的に回すことにつながっていくのです。

ブルーオーシャン戦略と戦略キャンバス・4つのアクション

ブルーオーシャン戦略とは?

ブルーオーシャン戦略とは欧州経営大学院のW・チャン・キム教授とレネ・モボルニュ教授が著したビジネス書の中の経営戦略論です。W・チャン・キム教授は英語版を、レネ・モボルニュ教授はドイツ語版を出されています。

ブルーオーシャンとは未開拓な市場を意味し、レッドオーシャンと対比して使われます。レッドオーシャンとは既存の市場を意味します。レッドオーシャン市場だと過剰な競争が繰り広げられて、苦戦するケースも多く見受けられます。つまり、レッドオーシャンだと価格競争に巻き込まれやすいのですが、ブルーオーシャンだとプライスリーダーになることができるのです。

マイケルポーターは競争戦略の中で、事業が成功するためには、「低価格戦略」または「高付加価値化による差別化戦略」のいずれかを選択する必要がある旨を示してきました。これに対して、ブルーオーシャン戦略では、以下で示すとおり、低コスト化と高付加価値化による差別化の両方について検討していきます。

ブルーオーシャン戦略とは、未開拓な市場なので、顧客へ新たな価値を創造して提供するものですが、新しい価値を提供したとしても、顧客を獲得・創造できるのか、という問題がでてきます。顧客を獲得・創造するためには、顧客から求められる独自性が必要で、一貫性や永続性も求められます。

こうした課題はあるものの、ブルーオーシャンを開拓した方がいいのはたしかです。では実際にどのように展開していけばいいのでしょうか?そこでここでは戦略キャンバスと4つのアクションという考え方をご紹介します。

戦略キャンバスとは?

戦略キャンバスとは価値の差別化と低コスト化を考える際の分析ツールです。横軸には製品の価格、機能、ブランド、デザインなど競争要因となる要素をとります。この横軸にとるものは顧客から見た提供価値となります。

縦軸には横軸にとった各要因に対する価値のレベルをとります。この縦軸は顧客が受けている横軸の各要因のレベルを示しています。

戦略キャンバスに描いた価値曲線が、横軸のどの部分に対しても縦軸が高い場所にプロットされる場合、ブルーオーシャン戦略には適しません。逆に、横軸の特定の部分に対して縦軸が高い場所にプロットされる場合ブルーオーシャンで主役となりえます。

4つのアクションとは?

ブルーオーシャン戦略は、低コスト化をすすめながら、顧客への提供価値をあげることにより、未開拓な市場を開拓していきます。では、どのようにしてコストを下げるのか、どのようにして顧客への提供価値を上げるのかを考えていけばよいのでしょうか?これを考える分析ツールの1つが4つのアクションです。4つのアクションは、4つの問いを通じて、今までの戦略を見直していくものです。

4つのアクションの問いは以下の4つです。

1.製品やサービスの要素のうち、取り除くものは何か?(Eliminate 除去)
2.製品やサービスの要素のうち、減らすものは何か?(Reduce 減少)
3.製品やサービスの要素のうち、増やすものは何か?(Raise 増加)
4.製品やサービスの要素のうち、新たに創造するものは何か?(Create 創造)

上記のうち1と2の問いについて考えると、取り除いたり減らしたりする要素が見えてきます。つまり、競合他社の製品やサービスと比較して、何を取り除き、何を減らすのかが見えてくるため、低コスト化につながります。

3と4の問いについて考えると、顧客にとっての価値が高まり、新たな需要を創造する要素が見えてきます。つまり、競合他社の製品やサービスと比較して、何を増加させ、どのような新しい価値を提供するのかが見えてくるため、顧客への提供価値の向上につながります。

4Cとマーケティングミックスとは?

4Cとは?

4Cとは、Customer Value(顧客価値)、Customer Cost(顧客コスト)、Convenience(利便性)、Communication(コミュニケーション)の4つの頭文字をとったものです。4Pは売り手視点の用語であるのに対し、4Cは顧客視点の用語です。

Product(製品)に対応するのがCustomer Value(顧客価値)、Price(価格)に対応するのがCustomer Cost(顧客コスト)、Place(流通)に対応するのがConvenience(利便性)、Promotion(プロモーション)に対応するのがCommunication(コミュニケーション)です。

Customer Value(顧客価値)は顧客にとってどのようなメリットがあるのか、あるいはどのような悩みを解決するのか、すなわち顧客が製品サービスを購入する価値を意味します。Customer Cost(顧客コスト)は、顧客がその製品サービスで節約できる金額や時間や、その製品サービスで避けることができるリスクです。Convenience(利便性)は、顧客にとって製品サービスをできる限り簡便に製品情報や製品を入手できる方法を意味します。Communication(コミュニケーション)は、売り手と買い手との双方向のコミュニケーションを図ろうとしており、そのコミュニケーションを生み出す手段となります。企業は、こうした顧客の視点も踏まえ、どのように販売するのかを考えていく必要があります。

マーケティングミックスとは?

マーケティングミックスとは、4Pと4Cとを掛け合わせて企業が戦略を立てていくことをいいます。

1.Product(製品)× Customer Value(顧客価値)

製品を提供する企業側の一方的な想いによる提供にならないよう、顧客の望む価値にも配慮した製品設計やサービス提供を考えていく必要があります。製品サービスの内容だけでなく、外観、見せ方、アフターサービスなどを顧客視点で振り返ることが大切といえます。

2.Price(価格)× Customer Cost(顧客コスト)

価格は単に提供する価格だけにとどまりません。定価、割引条件、割引率といった顧客が実際に支払う価格が重要であることは当然ですが、支払い条件や決済方法などにも配慮する必要があります。例えば飲食店で現金しか決済方法がないお店とクレジットカードに対応しているお店とがありますが、ターゲット層のニーズに合わせた決済方法を用意する必要があります。

3.Place(流通)× Convenience(利便性)

流通というと流通経路が頭に浮かびやすいのですが、単なる流通経路にとどまりません。例えば、実店舗であれば立地条件も含まれますし、小売業であれば納品方法や在庫状態なども流通の1種といえます。ターゲット層にとってどのような流通が望まれるのか、どれだけの種類の流通を確保できるのかも重要な視点となります。

4.Promotion(プロモーション)× Communication(コミュニケーション)

プロモーションは販売促進、すなわち企業からターゲット層への働きかけです。顧客は双方向のコミュニケーションを望んでいますが、プロモーションは企業側が言いたいことをいうだけのものになっていることが多いのも事実です。

例えばホームページにおいて、読み手のことを意識せずに書きたいことだけを書いているために、顧客は必要な情報を得づらくなっているなどのケースがあります。伝えるべき情報を伝えつつ、ターゲット層が読みやすいホームページの構成や書き方にするなどの視点も重要です。

4P分析とは?

4Pとは?

4Pとは、マーケティングでいわれる4つのP、すなわちProduct(製品)、Price(価格)、Place(流通)、Promotion(プロモーション)の頭文字をとった言葉です。これら4つについてどのような戦略をとり、組み合わせていくことで最大の効果を目指していくのかを考えていきます。この4Pは売り手の観点となります。

1.Product(製品)

企業が利益を得ている製品サービスそのものについて考えます。製品サービスの内容はもちろんのこと、機能・品質・デザイン・ブランド・パッケージ・保証なども含めて考えます。その際、製品は顧客のニーズに合致しているのか、顧客は製品サービスにどのようなことを求めているのか、自社の製品サービスは顧客にとってどのような価値を提供するのかなどそれは何かなどの消費者目線で分析することが重要です。

2.Price(価格)

自社の製品サービスの提供価格です。製品サービスの原価計算をもとに算出する必要があるのは当然です。しかし、提供価値と見合っているのか、顧客は購入してくれるのか、競合他社はどのような価格設定をしているのかなども考慮して決定する必要があります。

3.Place(流通)

製品サービスを提供するためには、市場に流通させる過程があります。製品サービスの流通経路や販売場所などです。実店舗であれば立地条件を見極める必要がありますし、ネット販売であれば受注してから製品サービスの提供完了までをインターネットで完結できるしくみ作りが必要です。

4.Promotion(プロモーション)

製品サービスをターゲット層の人にいかに認知してもらうのか、これがプロモーションです。昔からある媒体としては、テレビやラジオのCM、雑誌広告などがあります。近年ではインターネット広告やメールマガジンなどの方法もあります。ターゲット層の動向を見て、最適なプロモーションを行う必要があります。

4Pの戦略の立て方

1.Product(製品)戦略

「何の製品サービスを販売するのか?」、これが製品戦略となります。この際重要になる視点が、顧客視点です。つまり、わが社はこれを売りたいんだ!この製品サービスはこんなに素晴らしいんだ!という視点ではなく、自社の製品サービスを購入して欲しいと思っているターゲット層の方々が欲しいと思う製品サービスを販売するという視点が重要なのです。

世の中にまだ製品サービスがあふれておらず、作れば作るほど売れたという大量生産・大量消費の時代においては、マーケティングという概念は不要でした。なぜなら、企業が製品を作れば何もしなくても売れたからです。しかし現在は製品サービスが過剰供給となっており、多くの製品サービスが成熟期を迎えています。このような時代では、顧客は必要に迫られたものや、心を動かされて欲しいと感じるものに出会った時にしか製品サービスを購入しません。そのため、顧客のニーズに合った製品戦略を立てる必要があるのです。

2.Price(価格)戦略

この製品サービスをいくらで販売するのか?、これが価格戦略です。価格戦略は4Pの戦略の中でも重要な要素です。価格が低ければ低いほど顧客は購入しやすくなりますが、企業は薄利多売とならざるをえなくなります。一方で、価格が高ければ高いほど企業は高い利益率を上げることができますので、企業にとって収益性はよくなりますが、顧客は購入をためらうようになります。

企業が価格を決定する際、製品サービスにかかる原価をベースに考えるのは当然です。しかしそれだけでなく、市場の動向、顧客の動向、競合の動向を十分考慮し、需要と供給に見合った価格戦略をとっていく必要があります。

3.Place(流通)戦略

この製品サービスをどこで売るのか?、これが流通戦略です。流通戦略は顧客のターゲット層によって異なってきます。製品サービスが素晴らしくても、それを利用するターゲット層がいる場所で販売しないと製品サービスを必要とする人に届かないからです。

例えば、学生が主な顧客である商品サービスであればどこで販売するのが良いのか?一般のサラリーマン家庭の主婦が主な顧客である商品サービスであればどこで販売するのが良いのか?経営者が主な顧客である商品サービスであればどこで販売するのが良いのか?などです。近年はインターネットを使った販売も多くなりましたが、顧客の行動を分析し、インターネットの中でもどの媒体を利用するのかを検討する必要があります。

4.Promotion(プロモーション)戦略

この製品サービスをどのようにして自社製品を知ってもらうか?、これがプロモーション戦略です。少し前まではテレビ、新聞、雑誌、ラジオなどのマスメディアを利用したくても、自分から発信することができないため、プロモーション戦略がとりづらかったといえます。しかし近年はインターネットの発達により、個人や小さな会社でも自分で発信することができるようになりました。

プロモーション戦略も、ターゲット層によって最適な媒体や発信する時間帯などが異なりますので、ターゲット層の動きを把握したうえで最適な方法を模索していく必要があります。

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